TREATの箱山です。
暑い夏は普段の練習環境を離れて標高が高く涼しい環境で練習をするという方も多いのではないでしょうか。
高地は平地に比べて気温も低く、湿度も低いためトレーニング環境としては最適と言えます。
なんとなく標高が高いところ、酸素が薄いところで行うトレーニングはいいというのは聞いたことがあると思います。
今回は高地でトレーニングすることによるメリット、体への影響などをまとめました。
ぜひこの夏のトレーニングの参考にしていただければと思います。
高地トレーニングのメリットと注意点
高地トレーニングで主に期待できる効果としては、低酸素環境(体内に取り込む酸素量が減少)に適応するために酸素運搬を担うヘモグロビンや赤血球を増加させる反応が起き、酸素運搬能力の向上が期待されます。
さらにミトコンドリアの増加や酸化系酵素活性の上昇により、酸素を筋などで効率よく利用する能力が高まります。
高地で向上したこれらの能力が平地に戻った際にも維持されることにより、持久性パフォーマンスが向上する。ということが一般的に言われています。これが高地トレーニングのメリットです。
高地や低酸素環境でトレーニングすることで持久性パフォーマンスが向上するのであればどんどん高地トレーニングをすれば良い!と思うかもしれませんが注意が必要です。
低酸素環境では平地で行うよりもトレーニングの負荷が高くなり、トレーニングの質や量が低下することがあります。
また、高地では回復に時間を要したり睡眠不足や脱水傾向になったりと体調管理が難しく、コンディションを維持するのが平地に比べると大変です。特に高地に行ったばかりの段階で体調不良になりやすいと言われています。
睡眠不足、脱水などが標高2000mを超えてくると高山病につながる危険性もあります。
体調をみながらコンディションを整えてトレーニングを行うことが大切です。
効果を引き出すためにはある程度の期間が必要
ここまで高地トレーニングのメリット、注意点についてまとめてきました。
ではどのくらいの期間、高地でのトレーニングをすれば良いのでしょうか。
高地トレーニングで効果を出していくためにはどれだけ低酸素環境で生活やトレーニングをしたかがポイントになります。
主に高地トレーニングを行う方法として、
・トレーニングも生活も高地に滞在して行う(LH-TH法)
・睡眠など生活は高地に滞在し、トレーニングは標高を下げて行う(LH-TL法)
・一定の時間だけ低酸素環境で生活、トレーニングを行う(低酸素ルームなど)(間欠型)
などがあり、期間としては長期(3週間以上)、短期(3〜7日)を繰り返す方法などがあります。
おおよそ3週間以上の滞在で平地に戻った際にも効果が出てくると言われています。
高地での合宿などから平地に戻ってきてから早ければ数日後、1ヶ月以上後でもその効果が出るとの研究もあります。
一般の皆さんだと、なかなか長期間高地に滞在してのトレーニングは厳しいと思います。
近年では低酸素ジムなどが一般的にも広まっていて利用しやすくなっています。高所の環境との違いもありますが継続的に利用することで効果が得られるとされています。
1週間のトレーニングの中に計画的に取り入れていくことが大切です。
低酸素環境でトレーニングすることで持久性パフォーマンスが向上するなどのメリットもありますが、注意すべき点にも目を向けていくことで安全に効率よくトレーニングが行えると思います。
少し足を伸ばして標高の高い場所でトレーニングしてみましょう!
ランニングクラブでも標高1300m程度の準高地で合宿を行なったり、富士山の宝永山(約2700m)でトレーニングを行ったりしています。
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【参考】
・日本スポーツ協会:高地トレーニング -ガイドラインとそのスポーツ医科学的背景-
・Olga Cecilia ,Vargas Pinilla:Exercise and Training at Altitudes: Physiological Effects and Protocols