パフォーマンスを上げていくためには日々のトレーニングが不可欠です。
しかし、やみくもに走っていればいいというわけではありません。
狙った目的に応じたトレーニングの運動強度を設定していく必要があります。
まずはその前に知っておくべき身体の中で起きているエネルギー代謝についてご説明していきます。
運動中のエネルギー源は2種類
運動中に使われるエネルギー源は主に”糖質”と”脂質”です。
それぞれから得られるエネルギー量は
糖質=4kcal/g 脂質=9kcal/g です。
糖質は体内に蓄えておける量に限りがあり、枯渇してしまうとパフォーマンス低下につながります。マラソンなどで30キロの壁と言われているのもエネルギー源の枯渇が1つの原因であると言われています。
対して脂質は身体の中に体脂肪として多く蓄えられ、糖質に比べて1グラム当たりのエネルギー量も2倍以上ですが、エネルギーとして使われるまでに時間がかかります。
運動強度によって使われるエネルギー源が変化する
運動強度が比較的低いゆっくりなペースのジョギングの時にはエネルギー源として使用される割合は脂質が多くなります。エネルギーを産生する時に酸素を必要とすることから有酸素運動と呼ばれています。体内に蓄えられた脂質をエネルギー源として利用することができるので長時間身体を動かすことができます。
運動をはじめて脂質が利用され始め、その中でも脂質を最も優位にエネルギー源として使用している境界点を有酸素性作業閾値または好気性作業閾値(AeT値)と呼びます。
そこから運動強度が上がっていき、体内に取り込む酸素の供給が追いつかなくなると糖質をエネルギー源として使う割合が増加します。糖質がエネルギー源としてほぼ100%使用されはじめる境界点のことを無酸素性作業閾値または嫌気性作業閾値(AT値)と呼びます。この閾値以上の運動は有酸素運動に対して無酸素運動と呼ばれています。
マラソンではこのAT値付近の運動強度で走っていると言われています。そのため糖質の消費量が増加し、エネルギーの枯渇などのトラブルが起きます。糖質は脂質に比べ、エネルギーに変わるのも早いことからより多くのエネルギーを作り出すことができる反面、貯蔵できる量に限りがあるため運動中に補給する必要が出てきます。
まとめると運動強度の低いゆっくりとしたペースで走る時には脂質代謝が優位にはたらき、そこから運動強度が上がっていくにつれて糖質代謝の割合が増加していき、大体マラソンペース以上の運動強度ではエネルギー源のほとんどを糖質から得ています。
ウルトラマラソンやトレイルのロングレースなど、長時間動き続けなければならない状況ではこの脂質代謝をうまく利用し、糖質の消費をなるべく抑えることが後半にかけての失速や胃腸トラブルを防ぐことにつながっていきます。
トレーニングやレースに活かしていくには運動強度を把握することが大切
多くの場合、運動強度の増加に伴って心拍数も増加していくことからそれぞれの値の心拍数を指標としてトレーニングやレースに応用していくことがあります。
自分が今どのくらいの運動強度で運動しているかを把握することはどのエネルギー源を使って動いているのか知ることにつながります。
そうすることで狙ったトレーニング効果を得たり、オーバートレーニングを防ぐことにつながっていきます。
AeT値やAT値を正確に測定するには呼気ガス分析装置がある施設で計測を行う必要があります。
TREATではSTRIDE PERFROMANCE CENTERの依頼を受け、呼気ガス測定を用いたランニング測定を実施しています。
測定結果からそれぞれ数値を出し、それぞれの目標に沿ったトレーニングのアドバイスをさせていただいております。
目標のレースに向けてどうトレーニングをしていったらいいかわからない、自分に適した運動強度を知りたいといった方はぜひご相談ください!
次回はその運動強度の指標についてご説明させていただきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。